ベーシストのアニメ語り 〜時々音楽〜

ベーシストが音楽よりも優先してアニメ、映画などオタクコンテンツを語るブログです。

サイバーサイコは電気羊の夢を見るか?

見たんですよ。

 

サイバーパンク:エッジランナーズ。を。

 

 

 

……ていうか、お久しぶりです。

 

面白いアニメを見るたび「ブログ書こうかなぁ」と思うんですが、いやもう、めんどくさくてめんどくさくて!!!

本来こうやって自分が考えている事をダラダラ書き綴るのは好きで、だから令和にもなってブログ始めた訳なんですが。

それなりの内容で書こうとすると、めっっっっっちゃくちゃ労力がいるんですよ。

 

これまでのブログも、一回分書くのにそれぞれ最低でも3、4時間かかってるんですね。

だからその労力を想うと中々手が出ねぇんです。

 

その証拠に一つ前のブログはもう一年四ヶ月ほど前…………。時間って経つの早いよねぇ(遠い目)。

 

そして!一年四ヶ月ぶりに僕にブログを書かせる気になった作品が現れました。

冒頭に書きましたが、その作品が

 

サイバーパンク:エッジランナーズ

 

 

なのです。

 

何やら世界中で話題沸騰!らしく、配信スタートされてからしょっちゅう名前は聞いてたんですよね。

調べるとポーランドサイバーパンク2077」というオープンワールドで遊べるゲームが原作らしく、アニメが大ヒットしてゲームの同時接続者が激増したらしい。

 

そんな感じで評価はめちゃ高いんだがタイトルとビジュアルをなんとなく見た時に、あんまり僕の趣味ではないかなと思って見る気はなかったんです。

が、世間のあまりの空気に押されて見てみる事に。

 

内容は全く知らず再生したんだが、一発で見てわかるTRIGGERの作画。

 

 

「これTRIGGERやろ!今石洋之監督やろ!」

 

 

オタクも長年やってると、こういう時にしたり顔で監督の名前を出すよね。

 

今石監督といえば天元突破グレンラガン」「キルラキルが有名ですよね。

グレンラガンガイナックス制作、キルラキルはTRIGGER制作ですが、そもそもグレンラガンのメインスタッフがガイナックスを抜けてTRIGGERを作ったのでどちらも制作は同じようなものです。

 

話脱線しますが庵野秀明を筆頭にカラーメンバーが抜け、TRIGGERスタッフが

抜け、今やガイナックスはあんこのないたいやきみたいになってしまったね。

大好きなアニメスタジオだったのに、悲しいぜ……。

 

 

閑話休題

 

 

今石監督といえば世間的にはやっぱりキルラキルなんですが、僕の中ではガイナックス時代にフリクリというOVA作品の作画監督をした第5話が大好きで、その印象が強いです。

グレンラガンを見てもキルラキルを見てもフリクリの5話の人だ!と思ってしまう。

 

フリクリ第5話「ブラブレ」より。

 

 

のちにキルラキルとかにも受け継がれる、コミカルでケレン味のあるビジュアルが当時の僕には衝撃的でした(2000年)。

 

そして時は流れ、現代。ベテランオタクになってしまった僕には、グレンラガンキルラキルには当然楽しませてもらったものの今石監督、TRIGGERの作風にいい加減慣れてきて、なんなら少し見飽きてたりしてた。

良くも悪くもカロリーの高いてりやきバーガーみたいで、ベテランオタクにはちと重い、という感じと言えばいいのか。

 

実際評価の高いプロメア(TRIGGER制作のアニメ映画)も特に面白いと思えなかった。

 

そんな中、このサイバーパンク:エッジランナーズを見たのです(前置きなげーな)。

 

あ、ここからネタバレ全開なので、未視聴の方はそっとここを去って下さい。

見た人向けなので内容の細かい説明は省くのでぜひ視聴後にご覧ください。

 

 

 

 

とりあえずNetflix独占配信アニメということで、エログロなんでもあり(年齢制限16歳以上)ということは聞いてました。

そういう意味で刺激的なアニメではある。ただTRIGEGERのある意味リアリティからかけ離れた作画でやっているのでエログロシーンも特にキツいわけではなかったかなと。

 

まず!僕の個人的評価からいうと、まあ面白いと思ったからこうやってブログを書くに至っているわけですが、手放しで「最高すぎる!」という訳でもなく、世間評価が高すぎるような気もするし、世間評価に乗せられて僕自身の評価も上がっちゃってるような気もする。

 

けど結果的に自分の中に何かを残したのは事実で、それを今からここに書きつつ消化していこうと思う。

今この時点でもまとまっている訳じゃないんですよね。

 

 

まずヒロイン、ルーシー。声優は悠木碧さん。

 

 

僕は昔から彼女が好きですが、まどかマギカのまどかとかをやってる時の、いわゆる「萌え」っぽい声質は無理してる感じがしてあんまり好きじゃないんです。

けど地声を生かした低音で喋るのは凄くいいんですよ。演技もナチュラルに感じる。

聲の形の西宮結絃(ヒロインの妹)とか最高です。

そんな彼女の最高な低音演技を堪能できて凄く良かった。

 

ビジュアルも凄く好きですが、アニメスタッフがキャラデザの時点で原作スタッフの意見を取り入れていったらどうしても草薙素子攻殻機動隊)になってしまう、と言ってたのが面白かった。

やっぱこういう作品の根っこには攻殻機動隊があるんだなと。

 

 

そして準ヒロイン?のレベッカ

 

 

声優は響け!ユーフォニアムの主人公でお馴染み、黒沢ともよさん。

僕はユーフォで彼女の第一声を聞いた時に衝撃を受けまして。

声優っぽくないリアルな生っぽい、変にテンションの高すぎない演技に驚きました。子役あがりということで、その辺りも影響あるのかなと。

まあこのレベッカは常にテンションの高い役なんですが、当然というか、やはり黒沢さんの演技が最高でございます。

 

そもそもこのレベッカというキャラクターは原作サイドに「見た目が幼女で世界観を壊してしまう」と当初NGを食らったそうなんですが、TRIGGER側が、

 

「可愛らしいキャラクターがいるからアクションが映える。それに制作のモチベーションが段違いなんです!!」

 

と原作サイドを説得したそうな。

 

前半分かるけど後半(笑)。

 

初めて知りました。幼女キャラがオタクじゃなくて制作側のテンションをあげていたという事実に!!!

 

そうなんだ……。

 

アニメーターって幼女描いてるとモチベーションが段違いにあがるんだ……。

ポリコレなんのその。制作が効率化されてたなんて…………幼女バンザイ!!

 

という側面は置いといて、レベッカは見た目の幼女感と反して主人公のデイビッドを優しくカッコよく見守る存在で、大人気キャラになりました。

TRIGGER、名采配!

 

内容的には何もかも失った主人公がアンダーグラウンドな世界で自分の居場所を見つけ、その居場所や仲間を守るために自分を追い込んで破滅に向かっていく、という感じですね。

 

最近のアニメって主人公が不幸なパターン多いですが、ずっと続いてる日本の暗い雰囲気に合ってるというか、自分がそこまで不幸じゃなくても容易に想像できてしまうリアルさがそこにあるんですよね。

だからみんな共感するんだなと。

 

話の中間地点で兄貴的存在のメインが死んでその代わりに余計に頑張らざるをえなくなる。

グレンラガンでも主人公の兄貴的存在のカミナが死んで、そこから主人公が一歩成長するという展開がありましたが、あれは最後ハッピーエンドになるのでカミナの死も肯定的に受け取れるんですが、このエッジランナーズではラストああいうことになっちゃうので、なんとも言えなく切ないんですよね。全てが。

 

デイビッドは自分を改造してどんどん強くなっていきますが、その代わりにどんどん人間性を失っていきます。

最終話、ほとんど正気を保てなくなったデイビッドに死んだ母と勘違いされたレベッカがそれを否定せず母親として答えてあげるところなんてもう、今思い出すだけで泣けます。

 

そういうとこ含め、僕には最終兵器彼女に見えたんですよね。

 

 

兵器改造されどんどん正気を失っていく彼女(ちせ)と、それをなんとか受け止めようとする主人公(シュウジ)。

 

男女こそ逆転ですが、最終兵器彼女のようなどうしようもない切なさが大好きです。

 

結局主人公デイビッド含めほとんどの仲間は死に、生き残ったのはヒロインのルーシーくらい。

ラストに戦うアダム・スマッシャーにデイビッドは殺されるんですが、相手と相打ちにすらならない、ただ殺されてしまう、という流れにも驚きました。

 

ただそんなラストでありながらここまで評価が高いという事にも正直驚きです。

幅広く受け入れられようとすると、どうしてもハッピーエンドかそれに近いものでないとダメな気がしてしまうんですが、このラストがここまで受け入れられた事がなんか嬉しいですね。

 

まあその辺は演出次第、というか。

ラストのルーシーが月に行くシーンを見るとなんだかハッピーエンドなように見えてしまうんですよね。あまり悲壮感がないというか。

演出、という意味では圧倒的な存在感を放っているのが、楽曲です。

 

「I Really Want to Stay at Your House」

 

という曲が印象的に流れるんですが、とくに最終話でのこの曲の流れ方はもう神。神でしかない。

あまりにこの曲が良すぎて、この曲に感情が全部持ってかれてしまうんですよ。

 

youtu.be

 

単純に曲として素晴らしいんですが、アニメ見た後だと聞くだけで涙でてくる

もしこの曲が存在しなかったらそれだけで僕のこのアニメの評価30%くらいダウンしていたかもしれません。それくらい良い仕事してます。

 

そして.この曲をバックにしたデイビッドの

 

 

「月、一緒に行けなくてごめんな……」

 

 

というセリフ!

 

だいすきです。

 

まあ死亡フラグ、というか死にゆくもののセリフとしては超がつくほどありがちなんですが、僕こういう未来過去関係なく「やりたかったことが出来ない(出来なかった)」みたいな言葉が大好きなんですよ。

 

 

aikoさんの「二人」という曲があります。

 

その中に「後ろに立ってる観覧車に本当は乗りたかった」という歌詞があるんですよ(3:51~)。

youtu.be

僕、この歌詞が好きで好きで好きで好きで。

「乗りたかったのに出来なかった」という、過去の事なのでもうどうしようもないという切なさが、後悔が、このさりげない歌詞から溢れ出てきて胸を打つんですよね。

凄く小さな事なんだけど、忘れられない出来事なんだろうな、と。

 

「月、一緒に行けなくてごめんな」という言葉は未来に対して言ってますが、どちらももう実現出来ないという切なさ、という意味では同じで。

 

なのでこのワードが出てきた時点で号泣ですよ。もうダメだ。こんなもん。最高すぎる。

 

そんな訳で登場人物全員が刹那的に生き、駆け抜けていったサイバーパンク:エッジランナーズという作品は、僕の中では攻殻機動隊であり、最終兵器彼女であり、グレンラガンであり、アカメが斬る!であり、aikoでもあったなぁ、と。

 

こういうストーリーを見てると「いや街から逃げ出せよ!」とか「デイビッドは身体改造もうやめてもうちょい安全に生きろよ!」とか色々ツッコんじゃうんですが(実際ルーシーはそんな事デイビッドに言ってましたね)、以前「萌え作品」の分類のひとつとして凄くおもしろい定義があって、

 

 

『あまりにもピュア(純粋)過ぎてほとんど白痴の女の子たちが重病になったり死んだりするところを泣きながら見る』

 

 

とういもの。「白痴」って表現とか今していいんですか!?って思っちゃうが(一応、僕が言っている訳ではありませんよ!)、これめちゃくちゃ分かる。

 

エヴァ以降、特にエロゲ界隈で流行ったセカイ系の作品に多かったと思います。

 

ピュアすぎてほとんど白痴、とはどういう事かというと、純粋過ぎる性格が故に幅広く世界を見ることができず選択肢が極端に狭まってしまう

「こうするしかないんだ」という考えにしか行き着かず、破滅に向かってしまう。

 

って事なんですよね。ピュアすぎるというのは性格だけでなくキャラクターの年齢、境遇でも左右されると思います。

 

【魔法少女まどかマギカ叛逆の物語・中級編】彼女たちはピュアで純粋すぎて判断力を失ってるんです[新編] - YouTube

 

この動画で詳しく語られてます。面白いのでよければ。

 

この解説は「萌アニメ」に関してですが、このピュアすぎて白痴というのはエッジランナーズにも当てはめられるな、と。

 

「仲間を守りたい、自分の居場所を守りたい、何より一番大切なルーシーを守りたい。」

 

というデイビッドの純粋すぎる想いは、自分が破滅に向かう事でしか叶えられなかった。と言うことなんですね。

 

 

そんなこんなで!!サイバーパンク:エッジランナーズはめっっっちゃくちゃ面白い最高の作品!!!!

 

 

だったのか?

 

 

いや、ここまで語っておいて今更イチャモンをつけようという気はないんですが、あまりに世間の評価が高すぎるとやっぱり少し疑問にも思うというか。

これはベテランオタクの功罪というか、知識や経験が増えるからこそ疑問点も増えると。

 

まずこの作品を語る時に「エロ・グロ容赦なし!表現の規制がないのが凄い!」みたいに評価されてるのを凄く見るんですが、それ自体が評価対象になっているのが疑問です。むしろ逆じゃないですか?

 

「表現の規制がある中、こんなに面白い作品を作ってるのが凄い!」なら分かるんですよ。規制が緩いんだから好き勝手できるのは当たり前というか。

 

もちろんそういうの抜きにしても面白い作品だから評価されてるんでしょうけど。

 

最近はSPY×FAMILYリコリス・リコイルがめちゃくちゃ流行りましたが、どちらもそこまで流行るレベルの作品なのか正直疑問だったりするんですよ。

 

いやどっちもめちゃくちゃハマってるし、リコリス・リコイルなんてここ数年で一番、尋常じゃないレベルで感情移入してドハマりしてたんですが、ね!!!千束さいこう!!!

 

でもそれは僕がオタクだからであって、オタクがすみっコで「おもしれーーー!!!!」

と言ってるだけ、と思ってたらSPY×FAMILYなんて社会現象レベルで流行ってて、オタクが恥ずかしかった時代からアニオタやってる身からすると「え?」って気持ちになるんですよね。

 

単純にアニメというジャンルがもうサブカルという枠を超えちゃっただけの話なんでしょうが、未だにそういう気持ち悪さというか、違和感はあります。

分母が爆発的に増えたから面白いという声も広がりやすくなったんたろう。

 

なので実際面白かったし泣いたしオープニング曲早速ベース弾いちゃうくらいにはハマったんですが(↓動画、見てね!)、世間の声についていけるほどではないかも、と思ってました。

youtu.be

 

そんな中、アニメ全話見終わった次の日、電車に乗りながらYoutube見てたんですよ。

 

僕は外国人のアニメリアクション動画が好きで、好きなアニメがあったら結構リアクション動画を探すんですが、このエッジランナーズのリアクション動画を見ながら電車に乗ってたんです。

最終話のリアクション動画を見ながら「やっぱそこ驚くよねー!とかそこ泣いちゃうよねー!」って思ってたら、その”泣いちゃうシーン”で、

 

 

気付いたら涙ボロボロ出てきてて。

 

 

マスクしてるし、電車の中だから恥ずかしいし、「電車の中で泣いてる変なやつ」に見えないように必死で涙拭いてました。

 

でも、その時気付いたんです。

 

 

「あれ、俺、このアニメめっちゃ好きじゃん。」

 

 

って。関東弁です。もう。

 

いくら昨日見て結構面白かったアニメだったからといって、アニメ本編でもない、本編が断片的に流れるだけの外国人リアクション動画を見ただけでもこんなに泣いちゃう(しかも電車の中で)自分。

これはもう大好きじゃないですか、と。

 

だからこうやってブログに書くことにしたんです。

 

 

人生で一番面白かったアニメ、トップ10は何ですか?

 

と聞かれても正直この作品は入らないような気がするんです。

でも、実際いま、僕の心には強く刻まれているんですよね。

 

以前Twitterリコリス・リコイルについて「千束が好きだから生きて欲しいけど、リコリコをいち作品として見るなら千束は死んだほうがいい」みたいなことを書いたんですが(実際はひろゆきメーカーで喋ってもらいました(笑))が、詳しく言うと、

 

千束が死んだら僕はショックを受ける。ショックを受ける事によってリコリス・リコイルという作品は僕の胸に傷として残り続ける。

 

って事なんですよ。リコリス・リコイルが大好きだったから僕はリコリコにショックを与えて欲しかった。傷つけて欲しかったんです。

そうしてより忘れられない作品にして欲しかった。でも結局僕は千束が大好きで、死ななかった事が心底嬉しかった。

でもそのせいで、リコリス・リコイルは僕に傷をつけそこなった。

 

 

二・律・背・反!!!

 

 

自分で書いてて気持ち悪いなーーーと思います(笑)。

 

そしてリコリス・リコイルとは逆に、このサイバーパンク:エッジランナーズは僕に傷をつける事に成功したんですよ。きっと。

たぶん僕だけじゃない、世界中の色んな人たちに傷をつけた。だからこの作品がいまこれだけの評価を得ているんだろう。

 

そう思ういます。

 

 

月、僕もいつか行ってみたいですね。