ベーシストのアニメ語り 〜時々音楽〜

ベーシストが音楽よりも優先してアニメ、映画などオタクコンテンツを語るブログです。

新海誠との出会い

ついに。新海誠最新作、「すずめの戸締まり」が公開になったということで、その感想を語りたい。

とその前に、新海誠とは長い付き合いになる僕が、その出会いをまず綴ろうと思う。

 

僕が新海誠という存在を知ったのは約20年前。正確に覚えてはいないが、たぶん2002年か2003年はなずだ。

 

新海誠はゲームのOPムービーを作る仕事をしながら自主制作、それもほぼ一人で短編アニメを作り上げ、それが話題になって名が知れ渡った。

そのアニメがこれ。

 

 

ほしのこえ

 

これが発表されたのは2002年。

現在のようにSNSがなかった当時、ネットで知るという事はなく、夜のニュース番組で取り上げられていたのを偶然見かけた事により僕は彼を、「ほしのこえ」を知る事になる。

 

ほしのこえ」のストーリーはめちゃくちゃざっくり言うと、

地球と宇宙で離れ離れになったノボルとミカコは唯一の連絡手段のメールでやり取りをするが、二人の距離が離れるほどメールが届く時間がかかるようになり、二人はすれ違っていく…。

みたいな話。

 

ロボットに乗っての地球の存亡をかけた戦いがあったり、メールが届く時間が最終的に何年もかかっちゃったりとSF要素が多く、当時エヴァ以降に多くあったセカイ系に入る作品だと思う。

 

僕もその当時はセカイ系の作品にハマっていた。

ちょうど最終兵器彼女を読んだ直後だった事もあって、ニュース番組でちょっと見ただけなのにめちゃくちゃ興味を持った。

 

しかし!当時はアマプラやNetflixのような動画配信サービスも、Youtubeすらこの世になかった。

だからいくら一部で話題になっているとはいえ、個人制作のマニアックな短編アニメをどうやって見れば良いのか全く分からず……。

 

とりあえず次の日にタワレコのアニメDVDコーナーに行ってみたが置いておらず、当時は今ほどオタクではなかったので「アニメイト」という選択肢も思い浮かばず(そもそもアニメイトに置いてあったのかは分からないが)…………完全に詰んだ!!!

 

そう思うと今って本当に便利だよね。

「観たい!」と思った作品は家から一歩も出ることなく簡単に視聴できる。

 

そんな訳で完全に詰んだ僕は、ほしのこえを見る事が出来ないまま数ヶ月が経過してしまった。

が、遂に僕に天啓が訪れた。CSのアニメチャンネル、アニマックスでほしのこえの放送が決まったのだ。

 

録画までした僕は(当時はまだビデオテープ)擦り切れるほど見た。

切ないストーリーと、一人で作ったとは思えない映像。個人でこんな事が出来るのか、と衝撃を受けた。

 

そして、そんな新海誠が本格的に長編アニメを作っているという情報が。

 

公開日を心待ちにして映画館に向かった。それが、

 

雲のむこう、約束の場所

 

だ。当時はまだ公開規模も小さく、席数も少なめの映画館での公開だった。

 

ストーリーはめんどいので割愛するが、やっぱり衝撃を受けたのは映像だった。

 

教室の天井から吊るされた蛍光灯、線路、電車内に設置された扇風機。

全てが息を呑むほどキレイで、これまで見たどんなアニメにもない、現実に寄せた美しさなのに、現実よりも美しい。

自分が生きている世界はこんなにも美しいのか、とハッとさせられるような映像で、気付けば何故か涙が出そうになっていた。

 

今見返すと正直あの時のような衝撃はやっぱりもう感じられないが、あの時の衝撃が、僕が今も新海誠を好きな理由。追いかける理由なのだった。

 

それから僕は新海誠の新作が出るたび追いかけ続けた。

次の秒速5センチメートルが結構話題になり更に新海誠の名前は知れ渡った。

 

その次の「星を追う子ども」は正直あんまり僕には刺さらず、初めて「新海!オレが見たいのはジブリじゃねえぞ!」とツッコんだりしたけど、言の葉の庭が最高の出来で「やっぱり新海!」となった。

 

そして遂に君の名は。、公開。

 

もうめっちゃくちゃ面白くて最っっっ高!!!だった上に世間的にも君の名は。旋風が巻き起こるくらい超大ヒットした。

それまではなんだかんだ僕の、僕だけの新海誠という感覚だったが、君の名は。のヒットにより彼は国民的アニメ監督になった。

 

有名アニメ監督といえば宮崎駿庵野秀明ときて次に細田守がくるか新海誠がくるかって感じで、どっちかというと細田守が優勢、と思っていたが、君の名は。によって新海誠は完全に細田守をぶち抜いていった。と思う。細田さんも好きだけど最近微妙だからがんばってねーーー、応援してるよ(ヒソヒソ)。

 

だが!

 

君の名は。が超大ヒットし、視聴者が増えれば増えるほどそれに比例して批判的な感想も目につくようになってきた。

 

君の名は。は、バカにでも分かるようにお涙頂戴で作られた作品」

 

みたいに言われたりして、結構ショックだった。

なんだよ、秒速の時はみんな面白い面白いって散々持ち上げてたクセに……。と卑屈な気持ちにもなる。

 

そもそも僕が好きな「アニメ」というジャンルは見ている層が限られていて、それを好きな一部の人たちで分かち合うようなものだった。

それが2010年以降くらいから、特に君の名は。の2016年辺りくらいからはアニメ好きな人なんていうのは当たり前にゴロゴロいるようになった。

 

アニメがサブカルだった時代はもう終わり、今ポップカルチャーになった。なってしまった。

分母が増えた分、こういう批判も沢山目にする機会が増え、なんとも複雑な気持ちになる。

 

なんだよ!「君の名は。」を最高だと思ったオレは馬鹿なのかよ!!!

 

心の中で叫びつつ奥歯を噛み締めながらも、それでも、やっと売れに売れた新海誠に拍手を送った。

 

2004年。雲のむこう、約束の場所を観たあの時の気持ち。

あの時見つけた僕だけの新海誠は、遂に僕のもとから世界に羽ばたいていったのだ、と!!!(大げさ)

 

そして新海誠の物語は更に続いていくのであった……(すずめの戸締まり感想編へ続く)。