ヱヴァンゲリヲン新劇場版とワタシ
前回のあらすじ!
1997年、僕は新世紀エヴァンゲリオンと出会い、その後の人格形成に多大な影響を及ぼす程の衝撃を受ける!
そしてその十年後、僕は再びエヴァンゲリオンと相まみえるのであったーーー!
ふぅ。彼氏彼女の事情の次回予告風に言ってみました。知らない人はYoutubeででも見とくれ。
前回は新世紀エヴァンゲリオンとのあれこれを書きましたが、今回は新劇場版のお話。
2007年9月1日。待ちに待ったヱヴァンゲリヲン新劇場版:序が公開になった。
が。
あれ?あの十年前の大ブームは何だったの?
というくらい世間の話題としては小さかった。今の盛り上がりを味わっている人からすると、そんな事なかったでしょ当時も大盛りあがりだったでしょ、と言うかもしれないが、それ程じゃなかったんだな。
実際公開劇場数は少なく、劇場もTOHOシネマズのような大シネコンではなく、あまり大きくないテアトル系。僕が観に行ったのはシネ・リーブル神戸のせいぜい100席くらいしかないスクリーンだった。
しかも当時のシネ・リーブルはネット予約が出来ず、映画館での直接購入しか出来なかった(たぶん)。話題がそこまでだった、とはいえそれでもエヴァ。チケットが取れず、ひとつ時間を遅らせてしかも立ち見で観た。今まだあるのか分からないが当時は立ち見あったんですよね。
僕は通路の階段の上に座り込んで観た。冒頭に出るTVアニメ第1話と全く同じ「時に、西暦2015年」というテロップ。これだけで僕の目は潤んだ。
あの時観た碇シンジ。あの時観た使徒サキエル。あの時聞いた揺れる電線の音。
全てが僕を刺激した。とはいえ、序はキャラクターの作画を始めTVシリーズとの変化がほとんどなかったので落ち着いて観ていた。
そして迎えるヤシマ作戦。
やってくるキラキラのラミエルちゃん。
霜降り明星、粗品の悲鳴ばりの発射音で加粒子砲を放つラミエルちゃん。
形状すら変化させるノリノリのラミエルちゃん。
ひゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
FATSOUNDS(GLAY)の歌詞みたいなテンションになりました。
いや最高すぎ楽しすぎかよ!!!
そして最早本編よりもテンションのあがった「破」の予告。
出撃するエヴァ仮設5号機!?
てか最後の女の子誰!?
僕は席横の階段に座ってたので、すぐ横の男オタクの「マジか…」という言葉を聞き逃さなかった。
そうよね!そうなるよね!この予告ってば!
10年ぶりに会ったエヴァはそれほど変わってなかったみたい、と思ったら全然違うようだった。
あ、忘れるとこだった。ヤシマ作戦最大の名シーンったらこれしかないですよね。
「笑えばいいと思うよ」
前回僕はアスカ派だと断言しましたが、ここが名シーンなのは当然認めます。
で、この時の綾波レイの笑顔、皆さんはどれがお好き?
①TVシリーズ第6話
②劇場版シト新生「DEATH」(TVシリーズを作画修正した総集編)
③ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
僕は圧倒的②番ですね。①の修正版が②なわけですが、当時これ観た時思いました。全く違うやん!と。これ最早修正なんてレベルじゃなよね。DEATHの中で最も力入れたところだと思う。①は作画レベルとかそういう以前に顔の色が悪い。ゾンビかってくらいの土気色。色が違うだけでもっとよく見えたと思うけどな。
新劇場版もキレイではあるんですが、なんか違うなあという感想に。こうやって観るとだいぶCGっぽいですね。なんかシドニアの騎士みたいに見えます(笑)。
そしてなんだかんだあって約2年後。
2009年6月27日。
遂に公開される、ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破。
いやぁ。最高だった。破が人生最高の映画なんて言っちゃう人もいるんじゃないかってくらい、みんな大好き、破。
僕は公開一週間のうちに3回観に行きました。その後1回行って合計4回観ました。ちなみに序は2回観てます。
これはヤバすぎた。そもそも単純にストーリー上盛り上がり必死な8話~19話をあれだけ上手にやって面白くない訳がない。
僕がTVシリーズで好きなのはやっぱり19話で、アスカが出てくる8話も大好き。
それをあんだけ観たことないシーンの連続でやられるとたまりませんよね。
というか、破もQもアバンでガツンと盛り上げてスタートするから盛り上げ方として最高なんですよね。
あとは新キャラ、マリが操縦する弐号機とゼルエルの戦闘シーンはほんとに神がかっててこのシーンだけだと何十回観たかもう分かりません。
特にこの時のマリの作画が躍動的で大好きなんですが、おそらくTRIGGER(キルラキルなどでおなじみ)の作画陣がやったんではないかと。この時のマリってキルラキルっぽいと思いません?
何もかも最高の破なんですが、昔のエヴァと違いエンターテイメント大作に落とし込まれてなんとなく「クサイ」と感じてしまうところも少しだけ。
ダミープラグでアスカの乗った3号機をグッチャグチャにした初号機。
その後ブチ切れたシンジは親父のゲンドウに「父さんも大切な人を失えばいいんだ!そうすれば分かるよ!」って言いますよね。ゲンドウの動機って最初から最後まで失った嫁、碇ユイに再び会うためで、何も分かってないシンジのセリフがゲンドウに一番刺さっちゃった!ってシーンな訳です。
にしてもこのセリフが取ってつけたような感じで「いやこれゲンドウの事情分かっててワザと言ってるやん」としか思えないんですよね。シンジのセリフじゃなく脚本家が考えたセリフにしか聞こえない。
TVシリーズの時はこんな「分かりやすい」セリフじゃなかったので、ここはいつもちょっと笑ってしまいます(笑)。なんかわざとらしくて。
と、こんな文句を言いつつも見返した映画ナンバーワンかもってくらい大好きです。破。あ、マリもすき。
そしてそしてそして、待たされまくった3年後。
2012年11月17日
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 公開!
当然、序、破、Q全て公開初日に劇場へ。
冒頭のアスカの戦闘シーンでテンションマックス。やっぱエヴァって最高!最高!最高!
…………なんだこれ。なんなんだ父さん!何をしたんだ!エヴァに何をしたんだ!
知らないシーン。そりゃそうだ。破にだっていっぱいあった。リメイクなんだもの当然。
でも、それにしても、なんだ?船?葛城艦長!?これが、エヴァ?
あ、そうか。もうちょっとしたらシンジが「ハッ!」って病室で目を覚ますんだな。そうに違いない。
違い、な、い?あれもう10分経った。あれあれ?15分経った。あんまり長いと夢オチ辛くなるよ?
…………あ、これ現実なのね?
ドキドキしながら観てた。このエヴァは、ちょっと……。
結果的に結構な数のエヴァファンから叩かれたQ。僕も観てる最中、途中までは「こんんなの嘘だっ!!」って思ってたんですが、なんだかんだシンジがネルフにたどり着いてカヲル君と会ったくらいからだんだんいつものエヴァに見えてきて(不思議)、なんだかんだ受け入れてました。
だって新劇場版なんだもん。昔と同じもの見せられても、ね?
単純に作画レベルは神がかり的に上がっていってQはどのシーンも素晴らしすぎてずっと観てられるんですよね。
僕は自分の中に溶け込んだ90年代のエヴァと、新劇場版のエヴァは同じでありながら全くの別物と捉えてます。
旧エヴァは庵野秀明の完全なる私小説で、庵野秀明という個人が自分を削り落として血だらけで作った作品。
もちろん新劇場版にもそういう側面はあるだろうし、事実魂を削ってエヴァを作り「Q」公開後に鬱になったと庵野秀明は語っている↓。
が、世紀末という当時の時代感とマッチした旧エヴァと同じ見方を、2021年にはもうできない。Qのぶっ飛んだ内容もAir/まごころを君に、の監督の身を切ったぶっ飛び方とはまた別のように見える。
なんだかんだQは理性的だ。ちゃんとした大人が作ったように思う。
前回書いたように当時は年齢もあり、エヴァの謎に迫るために考察本を買い込んだりしていたが、今回のエヴァは前述した捉え方もありそんな風に観なくていい、と思っている。
だからよく言われているループ説とかあんまりどうでもいい。
僕は以前のレヴュースタァライトの感想ブログでも書いたようにループものが大大大好きだ。
でもそれをエヴァに持ち込まれると、90年代僕があんなにも夢中になったエヴァ、あの世界すら結局ループの1つでしかなかったのか、と少しだけヘコむ。
なんだか薄められたような気持ちになるのだ。
だから月に棺桶が並んでて、開いてる数だけループしてる。とか、ネブカドネザルの鍵、とかについて全く考えたことがない。
だってそんな事しなくても、意味なんて分からなくても観てて最高に楽しくて震えるくらいのエンターテイメント。それがヱヴァンゲリヲン新劇場版なのだ。
少なくとも僕にとっては。
だからシン・エヴァンゲリオンがどういう終わり方になろうとも僕はきっと楽しめるだろう。
Qで「エヴァの呪縛」という言葉が出てきて、シンジたちエヴァパイロットが年を取らず14年経ったという事を聞いて「いやそれオレのことじゃん!!」と思った。
1998年にREVIVAL OF EVANGELIONで一度エヴァが終了して、2012年のQ公開まで14年。ずっとエヴァに呪われて、縛られてきた。そんなエヴァファンのひとりが僕です。はい。
だからシン・エヴァンゲリオンのキャッチコピー、
「さらば、全てのエヴァンゲリオン」
はこれ以上ない言葉だった。
そんな訳で僕が予想するシン・エヴァンゲリオンのラストはこうだ。
シンジ「よし、みんなで一緒に叫ぼう!」
登場人物と観客全員
「さらばすべてのエヴァンゲリオン!!!」
これできっとみんなエヴァから解き放たれるだろう。