「家虎根絶」について
2月2日、ブシロードの木谷さんがtwitterで「家虎根絶する方向で動く。ライブの妨害行為については法的手段も検討する」という趣旨の投稿をされ、物議を醸しています。
1日のバンドリ!のRoseliaライブでの家虎を受けての発言と思われますが、これについて思うことをダラダラ喋ります。
まず……
「家虎」
ってなに?って方に軽く説明すると、ライブ中(特にアイドル界隈)のコールの一種で「イェッタイガー!」と叫ぶ行為。曲中の空白で叫ばれる事が多い。
って事ですはい。家虎という表記はイェッタイガーを漢字に置き換えたという感じですね。説明してもよくわかりません(笑)。
これが何故問題になっているかというと、曲中の意図的な空白に邪魔が入るからということだろう。
詳しく語る前にまず僕の家虎に対する気持ちを宣言しておくと……
ヘドが出るほど嫌い
だ。そう、ヘドが出るほど嫌いなんですよ(笑)。
とはいえ、ライブ会場で「イェッタイガー!」と叫ぶやつを怒鳴りつけてやろうとかぶん殴ってやろうとかそういう「家虎警察」的な、感情を燃えたぎらせているほど熱心な家虎ヘイトでもないという感じ。いやヘドが出るほどには嫌いなんだけどね。
なので、「家虎根絶」自体には大賛成なのだが、一方向の思考だけだと面白くないので、多少擁護も入れつつ喋ります。
僕が「家虎」というワードを初めて知ったのはラブライブ!サンシャイン!!、Aqoursのライブに行くようになってから。twitterなどで「恋になりたいAQUARIUM」という曲の1番サビ前の空白で家虎をやるとかやらないとか好きだとか嫌だとか、論争になっていたのだ。
僕はAqoursの1stライブはライブビューイングだったし、会場では言ってる人いなかったと思う。なので何の事か分からず、調べた。
……調べても意味分からなかった。「イェッタイガー」がどういう意味なのか、このワードが生まれた経緯も、全く分からなかった。
前述した通り僕は家虎がヘドが出るほど嫌いだが、それは空白の部分を壊すからとかそういう論理的なものでもなんでもなく、ただただ気持ち悪いのだ。「イェッタイガー」というワードが気持ち悪い。
理解できない人に対する恐怖感嫌悪感は誰にでもある。街で独り言をボソボソつぶやきながらフラフラ歩いている人がいたら避けると思う。怖い。気持ち悪い。反射的にそう思うだろう。
僕にとって家虎とはそれに近い。語源を調べてもよくわからないワードそのものが気持ち悪いし、その気持ち悪いワードを大声で叫ぶ人たちも気持ち悪い。
最早生理的なものなのでどうしようもない。
恋アク(恋になりたいAQUARIUM)での家虎について言えば、ファンの中でも未だに論争は続いているが嫌がる人が多数というイメージで、ライブ会場で叫ぶ人は多少いるものの、ライブビューイングではほぼいない。実際この間のラブライブ!フェスのライブビューイングでも叫んだ人はいなかった。
しかし、家虎の存在を強く意識してしまったことによって「誰か言う?言わない?」みたいな余計な気持ちを抱えて恋アクを聞かなければならなくなってしまったので、どちらにせよ微妙な気持ちになってしまう。なんか損した気分!
とまあ恋アクの家虎は嫌なんだが、否定派の意見として「サビ前のしゅかしゅー(斉藤朱夏さん)のソロを邪魔する」というのがある。が、それに関してはよく聞けと言いたい。サビ前の「近づきたいなI miss you」という歌に家虎は全く被っていない。
あえて言うならサビ冒頭の「アクアリウムで」のところに少しだけ被っている気もするが邪魔になるほどではないし、そもそも「歌の邪魔」という理由を採用するなら、コール自体ほとんどやめるべきだ。
PPH(手拍子でパン、パパン、フー!(最後だけ声))とかもガッツリ歌と被してやるものだし、歌の邪魔という論理で「家虎だけ」を除外するのは筋が通ってないように感じる。
だから恋アクで家虎してほしくない人は僕のように「気持ち悪いからやだ!」と言ってくれたほうが納得できるのだ。まあこれで肯定派を説得することは出来ないが(笑)。
ここで今回の事態の発端になったRoseliaのライブだが、「LOUDER」という曲の無音部分で家虎があったそうだ。元々この曲での家虎は問題になっていたらしいが今回のライブでも起こったことで運営側も我慢の限界みたいなとこがあったのだろう。
正直バンドリはあまり詳しくないので今回のことがあって、初めてLOUDERを聞いてみた。
確かにこれは家虎入れられると地獄だろうと思った。
LOUDERの無音部分は約2小節。ボーカルピックアップになった後バンドがオールインになる。
「ピックアップ」というのは曲中無音になったときに誰かがソロで入ってくること。この曲ではボーカルが入ってくるので「ボーカルピックアップ」となる。
こういう無音部分での家虎について苦言を呈する人もいて、過去にはfripSideの八木沼さんがMCで非難したことが話題になったりしていた。
ファン側での論争は置いといて、では演者、スタッフ側が家虎否定するのは何故か。
楽曲を作っている人は、無音を意図的に演出している。聞いている人からすればただの空白に思うかもしれないが、その間にも曲のテンポは維持され「休符」という「音符」が存在する。
僕はベースプレイヤーだが「休符をしっかり演奏しろ」ということを教えられたし、自分も人にそう教える。休符は次の音を鳴らすまでの「間」を演奏せよという記号なのだ。
そしてそこには「緊張と緩和」が生まれる。曲中に完全無音のところを作るのは次の「緩和(爆発)」にむけての最大級の「緊張」なのだ。
家虎はそこを完全に潰す行為だ。アレンジャー、プレイヤーが作り出した緊張は、決して家虎の為にある訳ではない。
本当にRoseliaが好きでLOUDERが好きであれば、ボーカルピックアップからのオールイン(緩和)を心待ちにしながら無音(緊張)を楽しむべきだ。
特にRoseliaは生演奏でライブをしている。自分たちの演奏で作り出した「緊張」なのだ。それはカラオケで歌う通常のアイドルよりも本人たちにとって更に尊い緊張なのではないかと思う。それを潰される気持ちは相当だろう。
これが大体の僕の意見だが、「そもそもライブの楽しみ方は自由だろう。暴れたりしたわけでもないから好きに楽しませてほしい。無音をどう楽しもうが自由」というような意見もあるだろう。
正直こういう気持ちも多少分かる。海外のライブなどではお客さんはそれぞれ自由に踊ったり叫んだり楽しんで、いちいちそれを咎める人はいない。という印象が強い。
それが「法的手段」というところまでいってしまう事に何か虚しさを感じる気持ちも少し、はある。
が、
やはりどれだけ家虎勢に寄り添おうとしてもこの「緊張と緩和潰し」は理解できない。
いちいち演者やスタッフが禁止を口に出すなという声もまた少しは分かるが、演者スタッフ側が楽しみ方を制限することもこれまた自由だと思う。
食べ方を指定するお店は存在するし、それが嫌なら食べに行かないという選択をすればいい。
BUMP OF CHICKENのライブDVD(だいぶ初期)を見たら演奏中客の手拍子が始まった。そしたらボーカルが演奏をやめて「学芸会じゃなから」みたいなことを言って手拍子をやめさせた。他にも手拍子を嫌がるロックバンドは多く、ファンはそれを理解してライブに行く。
ラブライブ!やバンドリ!、他アイドルのファンなど単純に客層が若いからというのはあるんだろうが、演者に対するリスペクトがない人が多いのではないか。
自分が好きに楽しみたいという気持ちがあれど、演者側からやめてくれと言われたことをやるというのは「盛り上げに来てやってる」みたいなある種上から目線の気持ちがあるんじゃないかと思う。
2年ちょっと前だったか、楠田亜衣奈さんのライブに行った時アンコール後のMCで「それぞれ色んな考えがあるだろうけど、ファン同士のいさかいとかをなくしていきたい」みたいな事を真剣に語った。
その次の曲で禁止されてる孔雀(サイリウムを扇状につなげたもの)を出した客とそれに掴みかかった客がもみ合いになった。くっすんは歌うのをやめてバンド演奏も途中で止まった。
僕はあの時のくっすんの顔が忘れられない。怒りも悲しみも通り過ぎた、呆れ果てて絶望したような顔だった。真摯なMCの直後にそうなったのだ。くっすんはどんな気持ちになっただろう。
今回のRoseliaも演奏前に静かにするようにMCで言ったらしい。そのうえで「イェッタイガー!」と叫ばれた気持ちはどうだっただろう。
演者へのリスペクトががあれば絶対にそんなことは出来ないハズだ。
家虎が好きか嫌いかはもう別問題で、「ルールとしてだめ」と言っていることを守れない人が存在して、そういう奴がファンの皮被ってライブにくる。
だから結局運営側も「法的に」とかいう言葉を出さざるを得なくなる。
そういう奴はステージ上に血の通った人間が立っているという認識がないのだろう。最早誰が立っていてもいいんじゃないかと思う。
ライブ会場が現実と地続きになっているということをしっかりと認識するべきだ。
…………もうちょい擁護しようと思ったけど、やっぱり気持ち悪いって思ってるから無理だった!!!(最終的に「奴」とか言っちゃってる(笑))
ま、恋アクの家虎に関してはRoseliaの件ほどには嫌悪感ないです。
家虎のありなしはアーティストごと、コンテンツごとに決めたらいいし、ファンはそれに従うべき。
ルール、マナーをそもそも守れていない人間が文句を言う資格はない。
という感じが、大まかな感想です。